東京奇譚集 村上春樹

海辺のカフカ以来に村上作品を読んだ。
ありそうでなさそうな、おかしな話。題名通り。
「偶然の旅人」の導入部には、村上氏が経験した
題名通りの体験談を2つ披露。



1つ目は、ジャズクラブのアンコール2曲に自分が思い描いた曲が演奏された
ってのと
2つ目は、「10 to 4 at the 5 spot」という中古レコードを偶然見つけて購入した際に
見知らぬ男に時間を訪ねられたその時間が「10 to 4(4時10分前)」だった
っていう、当人にとっては「ウホッ!!jazzの神様降りてきてる!!」的な
ありそうでなさそうな、おかしな話だ。



というような偶然のような話が、全編通して続いていく。
私的には「ハナレイ・ベイ」と「偶然の旅人」が良かった。


「ハナレイ・ベイ」は、ハワイのハナレイ・ベイでサーフィンをしている最中に
息子を亡くした母親サチが主人公の話。毎年息子の命日になるとハナレイを訪れ
3週間ほど過ごしていく中で、ある年、自分の息子と同じように日本からサーフィンをしに来た若者
を通して経験した不思議な話。


本筋とは離れるが、サチが若者にアドバイスする言葉。
(これは、こっちの世界でも有効だな。)
「女の子と上手くやる方法は三つしかない。
ひとつ、相手の話を黙って聞いてやること。
ふたつ、着ている洋服をほめること。
三つ、できるだけおいしいものを食べさせること」



目次
 偶然の旅人
 ハナレイ・ベイ
 どこであれそれが見つかりそうな場所で
 日々移動する腎臓の形をした石
 品川猿


東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)