シリコンバレーのエンジニアが語る、誰にも悪気はなかった話 | 上杉周作
Hackernews、Rebuildfm、日本のテレビなどでも活躍されている Shu Uesugi さんの記事。
とても面白いです。6万字と長いですが、ニューヨークタイムズのベストセラーとなった「The Prize」という本を日本人が理解できるように丁寧に解説し、日本の状況、彼の体験について書かれています。
直訳型ではないので読みやすいですし、とにかく読み物として面白いので、日本やアメリカの教育に興味がある人は是非読むと良いと思います。
もちろんそうでない人も色々楽しめる内容です。お金とっても良いレベルなんじゃないかと思います。
知れてよかったこと
この記事に書かれていることは大体知らなかったのですが、 このイースト・パロアルトやレッドラインの話は全く知りませんでした。
イースト・パロアルト
パロアルトといえば、スタンフォードやインターネットを発明したゼロックスのパロアルト研究所があるくらいしか知りませんでした。しかし、その目と鼻の先にあるイースト・パロアルトという場所は、かつて「レッドライン」と呼ばれる金融恐慌時に作成された黒人の多い地域を赤色で色分けされたエリアの一つでした。
この色分けによる政策のせいで、地域の衰退、貧困という負の連鎖により黒人と白人の資産格差が広がったと説明されています。(記事内ではもう少し詳しく書かれています。)
ギャング抗争のせいで、イースト・パロアルトは1992年に市内での殺人率が全米最高を記録した。 人口10万人あたりの殺人発生率は同時期の日本の「175倍」というとんでもない数字である。
そして、この土地の近くにFacebookの本社が移転し、マーク・ザッカーバーグがここで行った地域貢献(貧しい学区へ1億2000万ドルの寄付、学校の設立、インターンなど)について書かれています。
この話について掘り下げるのかと思ったら、ここまでが前振りで、ザッカーバーグが最初に行ったニューアークの教育機関への1億ドルの寄付がどのように行われ、そしてその取り組みがいかにして失敗したのかという話がここから始まります。
レッドライン(レッドライニング)
金融機関が低所得階層の黒人が居住する地域を、融資リスクが高いとして赤線で囲み、 融資対象から除外するなどして差別したとされる問題
アメリカの教育と政治イデオロギー
「再分配を大事にし、大きな政府を求める民主党」と、「競争を大事にし、小さな政府を求める共和党」 民主党も共和党も、「初等・中等教育においては、良い教育を無償で受けられるべき」と考えているのだ。
奨学金の話
学費が高いこと以上に、日本では諸外国に比べ、返済不要な「給付型」の奨学金が、 アメリカと比較どころか世界的に見ても圧倒的に少ない。 最近やっと、給付金奨学金が2018年から制度化することが決まったばかりだ。
地に足のついた日本での取り組み
記事では刺激的ではなく地に足のついた取り組みが大事であると説いています。
その中で彼が訪れた4つの団体が紹介されています。
無料の学習塾もすごいですし、モリウミアスも素敵な場所です。